レザー製品を購入する際、よく見かけるのがスムースレザーです。
スムースレザーとはいったい何でしょうか?そのお手入れ方法とは?
今回はスムースレザーについてわかりやすく解説していきます。
スムースレザーとは?
スムースレザーっていったい何なんでしょう?
よく見かけますけどよくわかりませんよね。
表面がスムース(なめらか)な革のこと
スムースレザーとは、実は名前の通りの意味でsmooth(なめらか)な革を指します。
ですからスムースレザーと呼ばれる革は定義が広く、その種類も様々です。
表面がなめらかな皮ですから、スエードやヌバックといったような表面が起毛している革や、型押し革のような凹凸がある革は含みません。
表面がなめらかな革はオイルドレザーであれヌメ革であれスムースレザーと呼んでも良いのですが、厳密には、スムースレザーと呼ばれる革は、2種類の革があります。
そもそもスエードとかオイルレザーとか何それ?状態の方は、個別記事革の種類と特徴まとめをどうぞ。
銀付き革か、ガラスレザーか
スムースレザーには大きく分けて、銀付き革とガラスレザーがあります。
それぞれの違いは、以下になります。
・銀付き革
出典:http://scqanda.blog.fc2.com/
銀付き革とは、革の銀面(外側)をそのまま用いている革の事です。
革本来の風合いを活かした革で、銀面をそのまま使用しているので、傷などが目立つものは使用できず、希少な分高価になります。
銀面が付いている革はすべて銀付き革と言えるので、ヌメ革やオイルドレザーなども銀付きと言えます。
しかし、スムースレザーを分類するときに、後述のガラスレザーと区分するために用います。
代表的な銀付き革としては、仕上げ剤にカゼインやラッカーを用いたアニリン仕上げ、セミアニリン仕上げや、ボックスカーフなどがあります。
・ガラスレザー
出典:http://scqanda.blog.fc2.com/
ガラス貼り革とも呼ばれる革で、クロム鞣しの後、銀面をパッフィング(磨き処理)し、顔料による塗装仕上げを施したものです。
革表面に分厚い塗装を施すことで均一に仕上がり、堅牢性や防水性が上昇しますが、分厚い塗装によってオイルなどが浸透しにくく、エイジングを楽しめないという欠点があります。
エイジングが楽しめない分、手入れは楽で安価というメリットが有ります。
しかし最近では、塗装する顔料や合成樹脂などの技術の進化により、ガラスレザーであってもオイルが浸透し、エイジングが楽しめるものも出てきているようです。
違いがよくわかんないけど?
シンプルに説明するならば、革の着色方法の違いです。着色するためには、染料か顔料を用います。
染料は水や油に溶けやすい着色剤で、革に染みこませて着色します。
革の表面がしっかりと見え、風合いが楽しめますが、コーティングがほとんど無い為に耐久性や耐水性が低いです。
これが銀付き革です。
一方、顔料は水や油に不要な着色剤で、革の表面に塗りつけます。
革本来の持ち味は消えますが、分厚いコーティングで保護されていますから、耐久性、耐水性に優れます。
これがガラスレザーです。
どうやって見分けるの?
ガラスレザーは耐久性などから靴に使用されることが多く、表記していない場合は革靴の多くはガラスレザーだと考えてよいでしょう。
銀付き革は財布やバッグに使用されることが多いです。
見分け方としては、ガラスレザーの場合毛穴やシボがなく、コードバンのようなハリと光沢があります。(加工でシボをつけている場合もありますが。)
どっちが良いの?
どちらも一長一短ですから、好みに合わせて選んで下さい。
銀付き革はエイジングが楽しめる反面、高価でデリケートな革ですから、しっかりとしたメンテナンスが必要になります。
ガラスレザーは安価で手入れも楽ですが、エイジングを楽しみたい、革を育てたい方には不向きです。
個人的には靴みたいな汚れやすい革製品は、ガラスレザーが使い勝手が良いと思います。雨や汚れに強いですし。
それにガラスレザーでもある程度の値段を出せば安っぽくないガラスレザーの靴が見つかりますからね。
手入れもしっかりしてエイジングを楽しみたい!という方は銀付き革を、手入れが楽でエイジングはいらない!という方にはガラスレザーをおすすめします。
スムースレザーの手入れ方法
さて。それではスムースレザーの手入れ方法についてです。
スムースレザーのお手入れは、銀付き革かガラスレザーかによって異なります。
銀付き革のお手入れ
銀付き革は染料で染色し、仕上げに顔料を用いていない、もしくはほとんど用いていないため、耐久性や耐水性に難があります。
ですから、しっかりとメンテナンスをしましょう。
基本的には革財布の手入れ方法や革靴の手入れ方法で紹介した、ブラッシングと乾拭きの基本的なメンテナンスに加えて、油分補給と防水処理でOKです。
そしてクリームの塗布についてですが、注意点があります。
油分補給の際、銀付き革の中でもアニリン仕上げ、セミアニリン仕上げに関しては、一般的なアルカリ性クリーナーを用いてはいけません。
何故かと言うと、普通の革用クリーナーでは洗浄力が高すぎるからです。
銀付き革でよく用いられるアニリン革は非常にデリケートですから普通の革用クリーナーではアルカリ性が強すぎて、汚れも染料も落ちて革に大ダメージを与えてしまいます。
ですから、アニリン革に関しては、専用クリーナーのアニリンカーフクリームを用います。
このクリームはデリケートなアニリン専用のクリームで、油分補給に加えてクリーナーとしての効果もあります。
ですからこれ一つでアニリン革の手入れは大丈夫な一品です。
強いて言えば水分量の少ないクリームですから、たまにモウブレイのデリケートクリームなどを塗れば水分量も十分補給できると思います。
ガラスレザーのお手入れ
ガラスレザーは先述の通り、顔料や合成樹脂で分厚いコーティングをされたものが一般的です。
ですから、表面にクリームを塗っても銀付き革ほどは浸透しません。
基本的にはブラッシングと乾拭きで十分です。
数ヶ月に一度はクリーナーで汚れを落とし、油分と光沢を保つために乳化性クリームを塗りましょう。
クリームは色付きのものがキズ消しなども兼ねる事が出来て良いと思います。
また、ガラスレザーの弱点として、シワが目立ちやすいという特徴があります。
ガラスレザーは樹脂や顔料でコーティングしてあるため、柔軟性が低くシワになりやすいのです。
靴にとって、適度な履きジワは歩きやすさに繋がりますが、あまりに激しいとひび割れなどの原因にもなりますので、ガラスレザーの靴の場合はシューツリーを使用して形を整えて下さい。
もちろん、ガラスレザーに限らずシューツリーは靴の形を整えたり、湿気をとってくれるのでおすすめですよ。
ガラスレザーは革のエイジングはあまり楽しめませんから、安い革だと見下している人もいます。
しかし、雨の日も気にせずに光沢のある綺麗な革を手軽に楽しめるという点では非常に使い勝手のいい革ですよ。
最後に
スムースレザーのお手入れのポイントは分かりましたか?
革の正しいメンテナンスで、大切なレザー製品を長く使っていきましょう。
レザー製品の手入れ方法についてはコチラ!