炭火料理は何故美味しいのか?ガス遠赤外線とかは聞くけど具体的には何なんでしょうか?
BBQや七輪、囲炉裏で食べる炭火焼き料理を考えます。
ガスとの違い
やっぱ炭火だとなんか炭火っぽい味がするよ!
でもそれは炭火焼きだと知ってて食べてるからであって、知らずに食べても分かるのかな?
ガスで焼くのと何が違うんだろ?
炭火とガス火は何が違うのでしょうか?
ガス火との違いをまとめました。
熱伝導の種類
熱の伝わり方には、対流熱、伝導熱、輻射熱の3種類があります。
ガス火の場合は、主に対流熱。炭火の場合は、主に輻射熱で加熱されます。
そして、炭火でよく聞く”遠赤外線”こそが、代表的な放射熱なのです。
放射熱≒赤外線加熱
炭火調理の特徴の一つに、『遠赤外線による加熱』が良く挙げられます。
分かりやすく理解するために、まず放射熱についての簡単に解説です。
温度センサーなんかは赤外線エネルギーを検出しているんだ
人体からも赤外線が出ていることが分かりますね。
温度の4乗…
赤外線エネルギーはとんでもない増え方するんだね。
温度の4乗ですからめちゃくちゃ熱い物体からはものすごい量の赤外線が生じています。
例えば、1000℃の鉄球のそばに近づくと熱気を感じるのは放射熱です。鉄球から放たれる赤外線が自分の体にあたり、赤外線を吸収して熱になるためです。
赤外線には波長の長さで分類して近赤外線と遠赤外線があり、炭火から多く発生しているのは遠赤外線です。
よく、「遠赤外線が内部まで浸透するので内側までよく火が通る」などという記述がありますが、あれは間違いです。
遠赤外線は金属以外の多くの物体に極めて吸収されやすく、物体の表面で吸収され熱になります。
しかし実際に遠赤外線加熱は他の方法に比べ物体内部の温度が早く上がる傾向にあります。
それは何故なのか?というと、赤外線加熱は他の熱伝導に比べ伝熱効率が良く、送り込める熱量が多い(熱流束が高い)からです。
熱流束…単位時間に単位面積を横切る熱量
シュテファン・ボルツマンの法則から、赤外線による伝熱エネルギーは放射体の絶対温度の4乗と吸収体の絶対温度の4乗の差に比例する。一方対流加熱による伝熱エネルギーは加熱物と被加熱物の温度差に比例する。対流は伝熱しにくいので加熱に時間がかかり、熱が無駄に筐体に伝導してしまう。赤外線加熱は伝熱効率がよく短い時間で加熱が可能で、無駄な熱伝導も少ない。
https://www.nippon-heater.co.jp/designmaterials/infrared/
また、赤外線は、電磁波なので、風の影響を受けません。そのため、焼きムラ無く焼くことが出来ます。BBQにはうってつけなんですね。
燃焼中の炭からは、「遠赤外線」と「近赤外線」が放射されています。ガスなどの炎と違い、風の影響を受けないため、アウトドアでは最も有効な熱源です。波長の違う2種類の赤外線効果で、大きな食材でも表面から内部まで、同時に加熱することができます。
ガスは水蒸気が発生してべしゃっとする説
ガスの燃料は主にメタン(CH4)やプロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)です。
これらは構造に水素(H₂)を多く含みますので、燃焼の際に水分が発生します。
このときに発生する水蒸気が、食材に付くことでべちゃに付くことでべしゃっと仕上がるという事は美味しんぼでも言われています。
対して炭は、ほとんどを炭素(C)で構成されているので、表面がパリッと焼きあがります。
ただし、はたして水蒸気が発生することが悪い事なのかというと疑問が残りますし、発生する水蒸気が味覚に影響を与えるレベルのものなのかも不明です。
世の中には水素ガス調理なるものだって存在しています。安全性やコスト面の問題から既に廃れたようですが。
個人的な意見ですが、ガス火がべしゃっとすると感じるのは先述した熱伝導の効率の話に落ち着くのではないでしょうか。
つまり単純な話で、ガス火(対流熱)は炭火(放射熱)に比べ熱量が足りていないからべしゃっとするのではないか?という事です。
燻煙効果で食欲をそそる
いわゆるスモークの事です。
脂の出る食材(肉や魚など)を炭火で焼くと、食材の脂が炭に落ちて煙が出ます。この煙が食材に味わい深い香りを付着させます。
炭火料理を食べたとき、何とも言えない香りというか、味というか、「あ、これ炭火だ」って感じのものがありますよね。(語彙力不足)
これは恐らくレトロネーザル嗅覚によって感じている香り(味)なんだと思いますが、これが炭火を美味しく感じる最大の要素だと思います。
突然レトロネーザル経路とか言い出したけど何言ってんだこいつ?という方は下記リンクを参照してください。
炭火とガス火の違いを味覚的・嗅覚的に明確にしているのはこれだと思います。
うちわ一振りで超高温に
炭火の温度は300~600℃程ですが、うちわで一振りすると一気に1000度付近まで上昇し、止めると600℃まで下がるので、繊細な温度コントロールが可能です。
とは言ってもそんな繊細なコントロールのできる腕を持っている必要がありますが…。
2. 遠火の強火で焼く
「遠火の強火」という言葉を聞いたことがありますか?
炭火で美味しく焼くためには、遠火の強火が最も適しているといわれています。
2-1.美味しい炭火料理は「遠火の強火」
直火で炭調理をした場合、食材の表面温度は250~300℃程になるのですが、これは高温すぎます。
表面を焦がさないように焼くためには130~150℃が丁度よいといわれています。
また、水分の多いものは170℃で焼いたり、逆に水分の少ないものは100℃程で焼いたりと、食材に合わせて火力も調整する事が重要です。
表面を焦がさずパリッと、中まで火を通す為には遠火の強火でじっくり焼くのが最も効果的なわけですね。
まとめ
炭火調理の美味しさの秘密は理解して頂けたでしょうか?
この記事を読んで是非炭火料理に興味を持っていただけたら良いなと思います。
この記事を書くにあたって炭の世界も調べたので、近い内に炭についての記事も書けたらなと思います。